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今までにないアイデアでサステイナブル社会をつくる“ソーシャル・デザイナー”を育成する環境を整えています!

2018年12月10日掲出

メディア学部 飯沼 瑞穂 准教授

飯沼 瑞穂准教授

 サステイナブル社会の実現に向けた実学教育を掲げる注册送礼金平台では、国連が採択した17のゴール、169のターゲットから成る持続可能な開発目標「SDGs(エス・ディ・ジーズ)」を意識した教育研究を推進しています。
 今回はメディア学部の中でも特にこの分野と関わりの深い「メディア社会コース」で国際教育開発を研究する飯沼先生にお話を伺いました。

■メディア学部では、SDGsに対してどのような研究や活動を行っているのですか?

 SDGsとは持続可能な世界を実現するために、国連で採択された17のグローバルな目標のことです。また、日本においては、目指すべき未来社会として内閣府が提唱する「Society5.0」を実現するための課題に共通する部分が多々あるということで、国内でもSDGsの取り組みが重要だと認識されています。「Society5.0」とは、AIやIoT、ビッグデータ、ロボットといったICTの先端技術を活用して、経済的発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会のことです。また人間中心の社会を考える上で持続可能性は欠かせない概念です。そういう社会をつくり上げるには、SDGsで掲げられている課題を解決していく必要がある、つまりSDGsの解決が「Society5.0」に繋がるという位置づけになっています。
 そういう視点で見てみると、国内にも着手しなければならない課題がたくさんあります。例えば、SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」では、海洋プラスチックごみ問題や食品ロスの問題がありますし、目標5の「ジェンダー平等を実現しよう」では、日本は世界男女平等ランキングが114位(2017年)と大変低いですから、これも大きな課題になっています。ですからSDGsは、自分とは関わりのないことではなく、日本はもとより世界のすべての国、国連機関、企業や非営利団体、教育・研究機関、そして市民が一丸となって解決していかなければいけない目標なのです。また、そのためにメディアや大学が担う責任は、今後、ますます大きくなると言えます。
 なぜならSDGsを達成するには、まず市民の理解が第一だからです。次に市民の教育、そして地域の人たちが参加できる仕組みをつくることが大切です。これら“知ってもらう”“教育をする”“参加する仕組みをつくる”のすべてにおいて、メディア技術は貢献することができます。例えば、国内のエネルギーに関して言えば、火力発電と原子力発電以外のクリーンなエネルギーとして太陽光などがありますが、実際、自分たちの生活の中にどのような選択肢があるのかは、よく知られていないですよね。それを知らせるのが、メディアの役割です。また、マスメディアは、広告主やスポンサー、政治的な思惑といったさまざまな要因に影響を受けるため、今後はSNS(Social Networking Service)など市民が中心となる新しいメディアを使った情報発信が重要になってきます。
 このように新しいメディア技術を駆使しながら発信できるスキルや感性を備え、市民が参加できる仕組みをつくることができる。さらに今後、AIが社会に浸透するようになったときには、その仕組みを知って、それをどう使えば、より人間中心の社会に移行できるかということを実践できるソーシャル・デザイナーが、これから求められるようになります。
 そのような未来を見据えて、ここ数年、メディア学部の「メディア社会コース」では、そうした人材を育成するためのカリキュラムを整えてきました。

■具体的には、どのようなカリキュラムがあるのですか?

 例えば、メディア学部の2年生全員が受講する必修科目「基礎演習Ⅱ」。この中では、SDGsなどのグローバルな課題を通じて問題発見解決スキルを学ぶ時間があります。来年4月からは、SDGsをさらに掘り下げた内容を加えてヴァージョンアップさせる予定です。また、メディア社会コース系の講義として「教育メディア論」「グローバルメディア論」「ソーシャルコンテンツデザイン論」といった科目がありますし、メディア社会コースの専門科目「ソーシャルアントレプレナーシップ」(来年度より「ソーシャル・デザイン」に名称変更)では、社会問題をビジネスで解決する社会起業家の精神や視点を培う授業を行っています。
 また、私の研究室「国際教育開発プロジェクト」では、世界の教育と開発に関する研究を行っているのですが、そこでの取り組みもSDGsに該当しています。過去には、学生たちとフィリピンの孤児院やストリートチルドレンを支援する企業「ワクワーク・イングリッシュ」との共同研究で映像制作やテーマソングづくり、現地でのワークショップに取り組みました。これはSDGsの目標1「貧困をなくそう」や目標4「質の高い教育をみんなに」に該当する取り組みです。
 このほか、外部と連携した好例で、3年前、国際NGO「Room to Read」の日本法人に、当時4年生だった学生がインターン生として通いながら研究したケースがあります。「Room to Read 」は、世界中の子どもに読み書きができるよう支援する目的で、世界各国に図書館を設置する活動をしている団体です。学生は、その団体の情報発信をSNSで行い、SNSの情報発信とチャリティーファンディングの効果について調べました。どういう情報を発信すると、チャリティーが増えるかということを研究したのです。

メディア学部授業風景

■メディア社会コースでは、今後、どのような展開を考えていますか?

 これから進めていきたいと考えているのが、NPO法人ETIC.が主催する「地域ベンチャー留学」などを活用して、メディア学部の学生がインターンとして地方へ数週間行き、そこにある課題を中小企業やNPOと一緒に解決する経験をできるようにすることです。そうした学外プロジェクトに参加し、社会の実態を知りながら、学内では基礎演習やSDGsに関係する専門的な科目を受講して学ぶという形をつくりたいと考えています。また、大学としては、多様な形で地域や企業と連携をとり、個人レベルでもよいので情報交換ができるようになる必要があると思っています。これからの大学は研究機関という役割だけにとどまらず、知を創造する、問題を解決するためのハブ的存在になっていかなければ、複雑化した難しい課題を解決できないと考えるからです。
 現に私が担当している「学士・修士一貫早期修了プログラム」に所属している学生は、4年生の頃からフィールドワークに行き、今はSNSなどを使って農業者を支援するベンチャー企業でインターンをしながら論文を書いています。具体的には農家のコミュニティを構築するために、消費者に農作物情報や直売所情報をどのように公開すると、地産地消を促進でき、ビジネスに繋げられるかという研究に取り組んでいます。この学生を通して、私たち教員が企業側にアドバイスをするなど、情報交換も行っています。
 こうした形で、メディア学部の学生が学内外を行き来しながら学び、実社会で活動していけるようになることが理想だと思います。本学部の学生は、4年生になるまでにさまざまなスキルが身についていますし、新しいアイデアを出せる可能性をたくさん持っていますから、その力を学外に出て、どんどん試せる仕組みを整えたいです。

■受験生・高校生にメッセージをお願いします。

 社会問題の解決と聞くと重く感じるかもしれませんが、今日、お話ししたことは、新しい社会をデザインしていく“ソーシャル・デザイン”に取り組んでみようということです。それは持続可能な仕組みや新しい価値をつくるために、どんな技術や知識をかけ合わせると、ダイナミックで面白いかを考えることだとも言えます。そうして生まれた新しいアイデアが、社会問題の解決に繋がるかもしれません。今の時代、個人のアイデアが社会システムを変えることも起き得ますからね。例えば、YouTube Liveを使えば、すぐに1万人の視聴者が集まります。SNSを使えば、マスメディアの力を借りなくても、一気に情報拡散できるのです。そういうメディアの力をうまく使い、さまざまな機関や人と柔軟に連携することで問題解決の糸口を探せる人が、これから一層求められます。皆さんもぜひ、自分の身近な人や事柄に目を向けて、社会に対する興味・関心を広げてほしいと思います。

・次回は12月21日に配信予定です